任意売却の例

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任意売却は、大切な財産の次なる一手
現代画報

人と企業

「現代画報」5月号にて、「人と企業」をテーマに弊社代表取締役大塚、理事の斎藤が、元プロボクサー渡嘉敷勝男氏と対談を行っております。

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投資用マンションの落とし穴

ある日、弊社のホームページを見て、ご相談に訪れたお客様の一例です。

「山口(仮名)さん。思い切って今すぐ任意売却(任売)をしましょう。」私は山口様にそう言いました。

ご相談内容は、山口様が所有する購入時価格5000万円の投資用マンションでした。そのローンは30年返済、支払い総額1億1000万円にもなると言う、結構負担になる設定だったのです。現在はこの様なローンはありえませんが、山口様がマンションを買った平成元年当時に、節税効果をうたい文句にして、一部のマンションデべロッパーが投資用マンションの販売のために、無理な融資を組ませていました。

山口様だけではなく、多くの方々がバブル期の負の遺産に苦しんでいるのが現状です。また、十数年以上にわたり地価の下落が続いている中で、山口様のマンションの実勢価格は、おおよそ700万円前後にまで下落しています。購入時はローンの金利を家賃で支払えたのですが、今では大幅に家賃も下がり、家賃収入5万円ですから、毎月の持ち出しは7万円程度。仮にこのローンを支払い続けて10年後に完済したとしても、その価値は見込めません。そんな物件にこれから1億1000万円も支払っていたら、山口様は一生ローン地獄で終わってしまいます。またよくよく聞けば、山口様の所有物件は、これだけではありませんでした。バブル期に保険会社に転職し年収が約2000万円近くになった山口様は、不動産会社の営業マンの口車に乗って、やはり平成元年に投資用物件を3つ購入しているのです。

「節税効果になりますよ・所得税の還付がありますよ。」

今思えば、その一言が地獄への第一歩でした。バブル期の山口様の総額資産は約2億円ぐらいでローンの総額は当初1億5000万円。ところが、現在では総額資産は2500万円にまで下落し、ローン総額は未だに1億4000万円近く残っています。家賃収入を相殺しても毎月の持ち出しは総額で約50万円にもなります。さらに山口様は、毎月の返済に困ったときに銀行のカードローンを利用していました。このカードローンも現在は500万円程度に膨れています。いくら年収が2000万円あったとしても、ご自宅の住宅ローン+4物件のローンに毎月50万円以上もの持ち出しもあり、輪をかけてカードローンへの返済を続けることは至難の業です。

弊社にご来店された日、応接室に座った山口様は、暗い表情で私にこう言いました。

「このままでは、私たちはいったいどうなるのでしょうか?保険会社も不況のあおりもしかするとリストラされるかもしれません。そうなったら毎月の返済どころの騒ぎではありません、ワンルームマンションだけでなく、自宅マンションも失って、親子3人でどうやって暮らせばいいのでしょうか。」

しかしながら、内容を詳しく聞いてみると、山口様のケースは債務整理としては大して難しいケースではありませんでした。問題は、ただ山口様が一流企業のサラリーマンであることです。債権者に対し、間違えた交渉をすると給料や生命保険の解約返戻金などを差押にくることが考えられますが、間違えの無い債権者との交渉次第によっては心配は不要です。私はそう言って山口様の「再生」の対策を練り始めました。

当初、年収2000万円だと所得税及び地方税が約500万円以上になります。ところが、投資用に物件を所有して、長期のローンを組めば節税効果が高く、将来的には売却益も望めた時期だったので、多くの高額所得者が投資用マンションに手を出したのは事実です。一部のマンションデベロッパーはこの手法でビジネス展開し、投資用マンションを買った投資家たちは、現在も多額の返済に苦しんでいる方もおられます。山口様もそうだが、この不況でリストラにあった時、現在の収入が減れば自己破産になってしまうという不安がある。高額所得者こそが自己破産予備軍という皮肉な構図があるのが事実です。厳しい生活状況の中で、山口様の奥様はガーデニングに興味を持ち、イングリッシュガーデンのある庭付き一戸建てに買い換える計画を持たれました。

山口様は資産を処分すれば、現在の収入や奥様のパート収入を考慮すると、4000万円から5000万円ぐらいの一戸建てが買えると考えておられました。

しかし、広告の問い合わせで大手の不動産仲介業者に住宅ローンの相談をしました。仲介業者は都銀の住宅ローン事前審査の申込みをしていただいたのですが、残念ながら銀行より住宅ローンの審査基準に引っかかる結果となりました。理由は金融機関の判断で、山口様が多重債務に陥り、融資を受けれる情況ではないとの判断でした。

それでなくても毎月の持ち出しに不安を抱えていた、山口様にとって、その不動産業者の言葉は自分自身の債務問題も考えるきっかけになった。それをきっかけに、金利引き下げ交渉を始めてみると、次々と問題が明らかになってきた。4つの物件に対する金利の引き下げの交渉を債権者にしてみたが、相手にしてもらえず、金利の引き下げには応じてもらえませんでした。低金利の現在になんと約7%台の金利は負担が大きすぎます。

私は山口様の物件を価格査定してみました。そして、ローンを組んでいるノンバンクに対して任意売却(任売)の申し出を行いました。勿論任意売却(任売)をするためには抵当権を持っているノンバンクが、それをはずしてくれなければなりません。これまで金融機関は、なかなか任意売却(任売)を認めませんでした。ところが現在では情況は大きく変わっています。長引く不況とリストラ等による収入減で、ローン返済が滞るケースが増えております。金融機関は不良債権処分をしなければならない物件を多数抱えて、その償却に全力を尽くしております。金融庁からの不良債権処理の圧力も重ねてあります。そのため、返済が続けられないという相談をすると、これ以上そんな物件を持ちたくないことから、意外に早期に任意売却(任売)を認めるケースが増えたのです。しかも、そのほうが高値で売却出来るという現実もあるのです。

通常銀行等は、ローン支払いが約3カ月滞ると、期限の利益の喪失となり「法的措置」に動き始めます。物件を競売して、融資回収を始めようとするのです。ところが競売の落札価格は実勢価格の約6〜7割が相場でしょう。それよりも任意売却(任売)をしたほうが高額で売却でき、債権者は回収額が増えて、私たちはその点を突いて任意売却(任売)の交渉を行うのです。勿論、その前提としては山口様の収入がこれだけ下がって、ローン返済が困難になったということを示す必要があるのです。平成12年に民事再生法が出来て以来、世の中の「再生」に対する考えが大きく変わりました。最大の変化は「倒産」や「破産」をする前に、「再生」を前提とした対策を打つという点です。

サラリーマンにしても、実際に収入が下がってからこの対策を打ったのでは、家計が破綻してしまいます。給料が下がる前に、下がることを見越して不良債権処理の対策を打つのが民事再生法の精神です。通常この交渉は、まずローン返済をストップして行います。事故扱いにしないと、金融機関も任意売却(任売)に応じてくれることは出来ません。山口様は個人信用情報における事故(ブラックリスト)を覚悟の上、任意売却(任売)に望みました。

債権者は任意売却(任売)することによって、残る無担保債権をサービサーに売却します。その価格は残債の3〜5%が相場ですから、山口様はそれよりも上回る額を一時金として支払えば債務を免除することが可能です。このケースであればせいぜい150万円というところでしょうか。

山口様は投資用物件だけにとどまらず、ご自宅マンションも共に任意売却(任売)する決意を持ち、我々と共に債権者と交渉に望んだわけです。債権者も万が一山口様がご自宅マンションに執着し、売り惜しむ態度を取れば今回の任意売却(任売)は成功しなかったでしょう。

現在、山口さんは念願の庭付き一戸建てを郊外のニュータウンで新たな新生活を送ることになりました。もちろん借家ではありますが、以前よりも広い庭付き一戸建てにお住まいになられました。所有する不動産は全て任意売却(任売)をして、無担保債権化され、現在は毎月々2万円ずつを債権者に支払い続けておりますが、近い将来、無担保債権をサービサーに債権譲渡されることを今では今か今かと待っている状態であります。